TL; DR (要約)
何日もかけて育てたAIの「知識」が、プログラムを閉じると消えてしまう…。
AIの知識をファイルに保存し、いつでも呼び出して新しいデータで予測(推論)させる、超実践的な技術の要点です。
① AIの知識の正体
(state_dict)
AIが学習した「知識」とは、モデルの重みやバイアスなどのパラメータ群です。PyTorchではこれらがstate_dictという辞書にまとめられています。
② 保存と読み込み
(torch.save / load)
torch.save(model.state_dict(), PATH)で知識を保存。model.load_state_dict(torch.load(PATH))で新しいモデルに知識を復元します。
③ 推論のお作法
(eval() / no_grad())
予測時には必ずmodel.eval()でモデルを「本番モード」に切り替え、torch.no_grad()で不要な計算をオフにし、高速化します。
この章の学習目標と前提知識
はじめに:AIの「知識」を、どうやって保存し、未来に活かすか?
皆さん、こんにちは!これまでの長い道のりで、私たちはついに、AIモデル開発の基本的なサイクル――すなわち、データを準備し(DataLoader)、モデルを設計し(クラス)、訓練し(損失関数と最適化)、そして性能を評価する(学習曲線やAUC)――を一通り経験しました。本当にお疲れ様でした。皆さんの手元には今、特定のタスクを解くための「知識」を確かに身につけた、賢いAIモデルが育ってきているはずです。
しかし、ここで一つ、少し切ない、そして非常に重要な問題があります。もし、私たちが何時間も、あるいは何日もかけて丹精込めて育て上げたこのAIの「脳みそ」が、プログラムの実行が終わった瞬間に、まるで夢のように綺麗さっぱり消えてしまうとしたらどうでしょう?
Pythonスクリプトが終了すると、メモリ上に構築されたモデルの知識(学習済みの重みパラメータ)は、残念ながら失われてしまいます。これでは、新しい患者さんのデータが来るたびに、またゼロから膨大な時間をかけて学習のやり直しです。全く実用的ではありませんよね。
そこで今回は、私たちのAIモデルを単なる一時的な存在から、その知識と経験を未来永劫に活かせる、永続的な存在へと昇華させるための、極めて重要な技術を学びます。具体的には、学習済みのモデルの「知識」をファイルとしてディスクに保存し、いつでも呼び出して再利用できるようにする方法です。
さらに、その保存した「賢い脳」を使って、訓練には一度も使ったことのない、全く新しいデータに対する予測を行う「推論(Inference)」の実践まで踏み込みます。このステップをマスターすることで、皆さんのAIモデルは、研究室の中だけの成果物から、実際に臨床現場や研究で役立つ、頼もしい「ツール」へと進化するのです。
この講義を通じて、私たちは以下の核心的な問いに答えていきます:
- PyTorchモデルの「知識」の核心である
state_dictとは一体何なのか? - 学習の成果を、
.pthや.ptというファイルにどうやって保存し、どうやって読み込むのか? - 推論時に絶対に忘れてはならないおまじない、
model.eval()の本当の意味とは? - (少し発展)私たちが作ったAIを、他のシステムからも呼び出せるようにするための「API」という考え方の基礎に触れます。
1. なぜモデルを保存するのか? 〜AIの「知識」の永続化〜
学習済みのAIモデルは、いわば長年の経験を積んだ「ベテラン専門医」のようなものです。その頭脳の中には、膨大なデータから学んだ、複雑なパターン認識の「知識」や、教科書には載っていない「判断の妙」といったものが、数値のネットワーク(重みパラメータ)として凝縮されています。
モデルを保存するというのは、このベテラン医師の貴重な知識と経験を、一冊の包括的な「医学教科書」に書き出して出版するような行為に他なりません。一度この「教科書」さえ作ってしまえば、そのベテラン医師(元の学習プロセス)がいなくても、新しい研修医(新しいプログラムや別のコンピュータ)がその教科書を開くことで、ベテランの専門知識を借りて、いつでも、どこでも、何度でも判断を下すことができるようになるのです。素晴らしいことですよね。
このモデルの保存には、主に以下のような、非常に重要で実践的な目的があります。
1.1 学習の中断と再開 〜長旅の「セーブポイント」〜
ディープラーニングの学習は、時として非常に長い旅になります。数時間で終わることもあれば、高性能なGPUを使っても数日、あるいは数週間かかることも珍しくありません。もし、この長旅の途中で、不意に停電が起きたり、コンピュータを再起動する必要が出てきたりしたらどうでしょう?最初からやり直し、というのはあまりにも心が折れますよね。
モデルを途中で保存することは、この長旅における「セーブポイント(チェックポイント)」を作るようなものです。定期的に学習の進捗をファイルに保存しておくことで、何か問題が起きても、最後にセーブした地点から安心して旅を再開することができるのです。これにより、私たちは時間を無駄にすることなく、効率的にモデルを育て上げることができます。
1.2 共有と再現性の確保 〜知識を人類の「資産」に〜
医学研究において、結果の再現性は、その研究が信頼に足るものであることを示すための、いわば「生命線」です(1)。「私たちの開発したAIモデルは、これほどの性能でした」と論文で発表するだけでは不十分で、第三者がその結果を本当に再現できるかどうかが問われます。
学習済みのモデルの重みをファイルとして共有することは、この再現性を確保するための、最も直接的で強力な方法です。他の研究者がその重みファイルを使うことで、皆さんが開発したモデルの性能を正確に再現・検証できるようになります。近年、論文を発表する際に、コードとモデルの重みファイルをセットで公開することは、科学コミュニティにおける良い習慣として、もはや常識になりつつあります。
1.3 推論(予測)への応用 〜臨床・研究現場での「実践」〜
そして、これがモデルを保存する最も重要な目的と言っても良いでしょう。それは、学習したAIを、実際の「仕事」で使うためです。この、学習済みのモデルを使って、未知の新しいデータに対する予測を行うプロセスを、専門用語で推論(Inference)と呼びます。
例えば、以下のような応用が考えられます。
- 内視鏡画像をインプットして、ポリープが悪性か良性かを予測する診断支援システムに組み込む。
- 患者さんのバイタルサインの時系列データをインプットして、数時間後の敗血症リスクを予測する早期警告システムを構築する。
- 新しい化合物データをインプットして、その薬効を予測する創薬研究ツールとして利用する。
このように、モデルを保存し、推論に使うことで初めて、私たちのAIは研究室を飛び出し、実際の医療現場で価値を生み出す、真に「使える」ツールとなるのです。
2. PyTorchでのモデルの保存と読み込み 〜AIの「脳」をデータとして取り出す〜
さて、モデルを保存する重要性がわかったところで、いよいよ「どうやって?」という具体的なお話に入っていきましょう。PyTorchでモデルを保存するにはいくつかの方法がありますが、ここでは最も一般的で、かつ柔軟性が高く推奨されている「モデルのパラメータ(重み)のみを保存する方法」に焦点を当てて解説します。
2.1 モデルの「知識」の核心:state_dict 〜AIの脳の解剖図〜
PyTorchのAIモデルが学習によって獲得した「知識」、すなわち、最適化された全ての重みやバイアスといった学習可能なパラメータは、state_dict (ステート・ディクト) という、一つの特別な「棚」にきれいに整理されて格納されています。これは、Pythonの辞書 (dictionary) というデータ構造でできています。
state_dictは、まさにAIの「脳の解剖図」あるいは「知識の目録」のようなものです。具体的には、以下のような構造になっています。
state_dict の構造イメージ
<pre><code>state_dict = {
"layer1.weight": <layer1の重みが入ったテンソル>,
"layer1.bias": <layer1のバイアスが入ったテンソル>,
"layer2.weight": <layer2の重みが入ったテンソル>,
"layer2.bias": <layer2のバイアスが入ったテンソル>,
...
}
</code></pre>
このように、モデルの各層(layer1など)の名前が「索引(キー)」となり、その層が持つ具体的な重みやバイアスのテンソル(数値の塊)が「内容(値)」として、ペアで整然と保存されています。
なぜモデルのプログラムコード全体ではなく、このstate_dictだけを保存するのが推奨されるのでしょうか?それは、この方法が軽量で、かつ非常に柔軟性が高いからです。モデルの構造(クラスのコード)さえ同じであれば、この「知識の辞書」を読み込むだけで、どんな環境でも学習状態を完全に復元できます。これにより、モデルのコードを後から修正したり、別のプロジェクトで再利用したりするのがとても簡単になるんですね。
2.2 モデルの保存と読み込みの実践 〜教科書を「出版」し「読む」〜
先ほどの「医学教科書」の例えで、保存と読み込みのプロセスを見ていきましょう。
モデルの保存 (torch.save): 教科書の「出版」
学習済みのモデルから知識(state_dict)を取り出してファイルに書き出す、いわば教科書を「出版」する作業です。PyTorchでは、torch.save()という関数一つで、驚くほど簡単に行えます。
# modelのstate_dictを、'model_weights.pth'という名前で保存
torch.save(model.state_dict(), 'model_weights.pth')
model.state_dict(): モデルから「知識の辞書」を取り出します。'model_weights.pth': 保存先のファイル名です。拡張子は慣例的に.pthまたは.ptが使われます。
モデルの読み込み (load_state_dict): 教科書を「開いて読む」
出版した教科書を「開いて読む」作業です。ただし、ここで一つだけとても重要な注意点があります。それは、まず白紙の教科書(つまり、中身が空っぽのモデルの器)を用意してあげないといけない、ということです。
- モデルのインスタンスを作成:
model = MyModelClass()のように、保存した時と全く同じ構造を持つ、新しいモデルのインスタンスを作ります。いわば、これから知識を書き込むための、まっさらな教科書を用意するイメージです。 - 重みを読み込む:
torch.load()でファイルから知識の辞書を読み込み、それを.load_state_dict()メソッドで、用意したモデルの器(まっさらな教科書)に流し込みます。これで、知識の転写が完了です!
Pythonコード例:モデルの保存と読み込みサイクル
言葉での説明だけでは、まだ少しフワッとしているかもしれませんね。実際に簡単なモデルを作って、保存→新しいモデルに読み込み→重みが完全に復元されていることを確認、という一連のサイクルを、コードで体験してみましょう。これができれば、もう何も怖くありません!
# --- 1. 必要なライブラリと、簡単なモデルを定義 ---
import torch
import torch.nn as nn
import os # ファイルやディレクトリを扱うためのライブラリ
# 入力特徴が2つ、出力クラスが2つの、非常にシンプルな分類モデルを定義します。
# これは、例えば「年齢」と「血圧」から「イベント有無」を予測するようなイメージです。
class SimpleNet(nn.Module):
def __init__(self):
super(SimpleNet, self).__init__()
# 2つの入力特徴を受け取り、1つの隠れ層(4ノード)を介して、2つのクラスのスコアを出力します。
self.layer1 = nn.Linear(2, 4)
self.relu = nn.ReLU()
self.layer2 = nn.Linear(4, 2)
def forward(self, x):
x = self.layer1(x)
x = self.relu(x)
x = self.layer2(x)
return x
# --- 2. モデルをインスタンス化し、学習前の重みを確認 ---
# モデルの設計図から、実体(インスタンス)を作ります。
# この時点では、重みはランダムな値で初期化されています。
model_to_save = SimpleNet()
# layer1の重みを、保存する前に確認しておきましょう。
print("--- 保存前のモデル(model_to_save)の重み (layer1) ---")
print(model_to_save.layer1.weight)
# --- 3. モデルのstate_dictをファイルに保存 ---
# 保存するファイル名を定義します。
model_path = 'simple_model_weights.pth'
# torch.saveを使って、モデルのパラメータ辞書(state_dict)をファイルに保存します。
torch.save(model_to_save.state_dict(), model_path)
print(f"\nモデルの重みを '{model_path}' に保存しました。")
# --- 4. 新しいモデルの器を作り、保存した重みを読み込む ---
# いったん、全く新しいモデルのインスタンスを作ります。
# これは、別のプログラムを起動したり、後日作業を再開したりする状況をシミュレートしています。
new_model = SimpleNet()
# この新しいモデルの重みは、当然ながら先ほどのモデルとは異なるランダムな値です。
print("\n--- 新しいモデル(new_model)の、読み込み前の重み (layer1) ---")
print(new_model.layer1.weight)
# いよいよ、保存しておいた重みファイルを読み込みます。
# まずtorch.load()でファイルからstate_dictを読み出し、
# 次に.load_state_dict()で、モデルの器にその重みを適用します。
new_model.load_state_dict(torch.load(model_path))
print("\n--- 保存した重みを読み込んだ後の、新しいモデル(new_model)の重み (layer1) ---")
# 読み込み後の重みを確認すると、保存前のモデルの重みと全く同じになっているはずです!
print(new_model.layer1.weight)
# --- 5. 不要になったファイルを削除 ---
# このサンプルコードの後始末として、作成したファイルを削除します。
if os.path.exists(model_path):
os.remove(model_path)
print(f"\n'{model_path}' を削除しました。")
# === ここから下が上記のprint文による実際の出力の例(乱数値なので毎回変わります) ===
# --- 保存前のモデル(model_to_save)の重み (layer1) ---
# Parameter containing:
# tensor([[-0.0763, -0.4744],
# [-0.0271, 0.4239],
# [-0.4439, 0.6811],
# [-0.6451, -0.2793]], requires_grad=True)
#
# モデルの重みを 'simple_model_weights.pth' に保存しました。
#
# --- 新しいモデル(new_model)の、読み込み前の重み (layer1) ---
# Parameter containing:
# tensor([[-0.1584, 0.6067],
# [ 0.6268, 0.1758],
# [ 0.3899, -0.1906],
# [ 0.1323, 0.1418]], requires_grad=True)
#
# --- 保存した重みを読み込んだ後の、新しいモデル(new_model)の重み (layer1) ---
# Parameter containing:
# tensor([[-0.0763, -0.4744],
# [-0.0271, 0.4239],
# [-0.4439, 0.6811],
# [-0.6451, -0.2793]], requires_grad=True)
#
# 'simple_model_weights.pth' を削除しました。
見事に、保存前の重みと、読み込み後の重みが一致しましたね!これでAIの「知識」を永続化させる方法をマスターしました。
3. 推論 (Inference) の実践 〜AIの「知識」を、いよいよ実戦投入する〜
さて、AIの「脳」を保存し、いつでも呼び出せるようになりました。これで、私たちのAIは時間と空間を超えてその知識を保てるようになったわけです。では、いよいよその知識を使って、全く新しい問題に立ち向かってもらいましょう。
この、学習済みのモデルを使って未知のデータに対する予測を行うプロセスこそが、推論(Inference)です。まさに、AIがその真価を発揮する瞬間ですね。
3.1 推論時に必須の「お作法」
実際に予測を行う前に、モデルに対して「これから推論モードに入りますよ」と伝える、二つの非常に重要なお作法があります。これは、信頼性の高い予測結果を得るために絶対に欠かせないステップです。
その1:model.eval() – モデルを「本番モード」に切り替える
これを忘れるのは、いわば、ベテラン医師が学会発表という公の場で、友人との雑談のようなリラックスしたノリで話してしまうようなものです。場に応じたモード切替が必要ですよね。
model.eval()は、モデルに対して「さあ、ここからは本番の診断だよ。訓練中のような冗談(Dropout)や、その場しのぎの調整(BatchNormのバッチ統計利用)はナシで、これまで培った全ての知識を総動員して、一番確からしい答えを出しなさい」と伝える、モード切替スイッチなんです。
この一行を呼び出すことで、特に、第10回で学んだDropout層や、拡張編で学ぶBatchNorm層のような、訓練時と推論時で挙動を変える必要がある層が、自動的に評価・推論モードに切り替わります(2)。
- Dropout: 無効化されます(全てのニューロンが総出で働きます)。
- BatchNorm: 訓練中に学習したデータ全体の統計量を使うようになります。
もしこれを忘れてしまうと、同じデータを入力しても推論のたびに結果が変わってしまうなど、信頼性のない予測になってしまうので、絶対に忘れてはいけない「おまじない」だと覚えてください。
その2:with torch.no_grad(): – 「勾配計算は不要です」と伝える
推論は、あくまで学習済みの知識を「使う」だけですよね。新しいデータで答え合わせをして、モデルの重みを更新(再学習)する必要はありません。
with torch.no_grad():は、PyTorchに対して「この先の計算は、ただ予測するだけだから、後で逆伝播するための途中計算(勾配)は記録しなくていいですよ」と伝えるための合図です。
この合図を送ることで、PyTorchは余計な計算を一切しなくなるため、推論の処理が大幅に高速化され、メモリの使用量もぐっと減るという、大きなメリットがあります。推論を行う際は、このブロックの中で実行するのが鉄則です。
3.2 Pythonコード例:保存したモデルで新しい患者を予測する
では、これらの「お作法」を守りながら、先ほど重みを読み込んだモデルを使って、新しい患者さんのデータを予測する一連の流れをコードで見ていきましょう。
# (前のコード例で、重みを読み込んだ 'new_model' が存在することを前提とします)
# --- 1. 新しい患者さんのデータを用意 ---
# 今までモデルが見たことのない、全く新しい患者さんのデータです。
# [年齢=75歳, 血圧=160] というデータだとします。
# 予測したいデータも、モデルが学習した時と同じ形のテンソルにする必要があります。
new_patient_data = torch.tensor([75.0, 160.0], dtype=torch.float32)
# --- 2. モデルを評価モードに切り替え! ---
# 推論を行う前には、必ずこの .eval() を呼び出します。
# これでDropoutなどが正しくオフになります。
new_model.eval()
# --- 3. 勾配計算をオフにして、推論を実行 ---
# with torch.no_grad(): の中で処理を行うことで、計算が効率的になります。
with torch.no_grad():
# モデルに新しい患者さんのデータを入力し、予測結果(出力)を得ます。
# この時点での出力は、各クラスに属する「スコア」(ロジット)として得られます。
prediction_scores = new_model(new_patient_data)
# --- 4. 予測結果を人間が分かりやすい形に変換 ---
# モデルの出力スコア(ロジット)を、Softmax関数を使って「確率」に変換します。
# これにより、各クラスに属する確率が0から1の間の値で、合計が1になるように変換されます。
probabilities = torch.softmax(prediction_scores, dim=0)
# 最も確率が高いクラスのインデックス(この例では0か1か)を求めます。
predicted_class_index = torch.argmax(probabilities).item()
# 予測結果を分かりやすい言葉で表示します。
# クラスのインデックスに対応するラベルをあらかじめ用意しておきます。
class_labels = ["イベントなし", "イベントあり"]
predicted_label = class_labels[predicted_class_index]
print("--- 推論結果 ---")
print(f"入力された新しい患者データ: {new_patient_data.numpy()}")
print(f"モデルの出力スコア (ロジット): {prediction_scores.numpy()}")
print(f"計算された各クラスの確率: {probabilities.numpy()}")
print(f"最終的な予測クラス: {predicted_label} (クラス {predicted_class_index})")
# === ここから下が上記のprint文による実際の出力の例(モデルの重みに依存します) ===
# --- 推論結果 ---
# 入力された新しい患者データ: [ 75. 160.]
# モデルの出力スコア (ロジット): [-1.457833 -2.1287413]
# 計算された各クラスの確率: [0.6617316 0.3382684]
# 最終的な予測クラス: イベントなし (クラス 0)
この一連の流れが、学習済みAIモデルを実際のタスクに利用する「推論」の基本です。モデルが出力した生のスコア(ロジット)を、Softmax関数などで人間が解釈しやすい「確率」に変換し、最終的な判断を下す、という流れは非常によく使われます。
3.3 (発展)その先へ:推論API構築の基礎
さて、自分のPC上でモデルを動かせるようになりましたが、これをどうやって他の人や、他のシステム(例えば電子カルテシステム)から使えるようにするのでしょうか?ここで登場するのがAPI (Application Programming Interface) という考え方です。
APIは、レストランの「メニュー」のようなものだと考えてください。
- 客(利用者)は、厨房(AIモデルの内部)で何が起きているかを知る必要はありません。
- メニュー(APIの仕様)を見て、注文(データ)を伝えます。
- ウェイター(APIサーバー)が注文を厨房に伝え、出来上がった料理(予測結果)を運んできてくれます。
PythonのFlaskやFastAPIといったWebフレームワークを使うと、学習済みのモデルを裏側で動かし、外部からのリクエストに応じて予測結果を返す、というAPIサーバーを比較的簡単に構築できます。
APIの概念図
graph LR
client["電子カルテや他のシステム"]
server["APIサーバー (学習済みモデル搭載)"]
client -- "HTTPリクエスト (例: 患者データ送信)" --> server
server -- "HTTPレスポンス (例: 予測結果受信)" --> client
このようなAPIを構築することで、例えば「電子カルテ上でボタンを押すと、その患者さんのデータをAIサーバーに送り、数秒後に予測されるリスクスコアが返ってくる」といった、実際の臨床支援システムとの連携が可能になるのです。ここまで来ると、AI開発がより一層面白くなってきますね。
4. まとめと次のステップへ
今回は、AI開発のサイクルを完成させる上で欠かせない、極めて実践的なステップを学びました。
- 学習の成果を
state_dictとして.pthファイルに保存し、いつでも再利用できること。 - 新しいモデルの器に、保存した重みを読み込んで学習状態を復元できること。
- 学習済みモデルで新しいデータを予測する推論を行う際には、
model.eval()とwith torch.no_grad():が重要であること。
これで、AI開発のアイデア出しから、データ準備、モデル構築、学習、評価、そして保存と利用まで、全ての部品が揃いました。まさに、旅の集大成です。
次回の第18回『総まとめプロジェクト』では、これらの知識とスキルを総動員して、皆さん自身が選んだテーマで、ゼロからAIミニプロジェクトを完成させることに挑戦します!これまで学んできたこと全てが、ここで一つの形になります。ぜひ、どんな課題に取り組んでみたいか、今から考えてみてください。
参考文献
- Ioannidis JPA. Why most published research findings are false. PLoS Med. 2005;2(8):e124.
- PyTorch Documentation. torch.nn.Module.eval. [Internet]. [cited 2025 Jun 10]. Available from: https://pytorch.org/docs/stable/generated/torch.nn.Module.html#torch.nn.Module.eval
- PyTorch Documentation. Saving and Loading Models. [Internet]. [cited 2025 Jun 10]. Available from: https://pytorch.org/tutorials/beginner/saving_loading_models.html
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