Jupyterは「実験ノート」として優秀ですが、再現性に課題があります。VS Codeは「コードの手術室」として、インテリジェンス機能、厳格なフォルダ分け(ゾーニング)、デバッグ機能により、Jupyterで見つけたアイデアを「再現可能な本番コード(資産)」に昇格させます。
単なるエディタではなく、コード補完やエラーチェックで「医療過誤(バグ)」を未然に防ぐ高機能な開発環境(IDE)です。
「実験用 (notebooks/)」と「本番用 (src/)」を明確に分離。この「清潔野」の区別が、再現性の鍵です。
Jupyterで試したロジックを、VS Codeで「再利用可能な関数(部品)」として src/ フォルダに清書。これがプロのワークフローです。
C30.2では、Jupyter Notebookという素晴らしい「デジタルの実験ノート」を学びました。データを対話的に探索し、コードと考察を一つの文書に残すEDA(探索的データ解析)の強力な相棒でしたね。
しかし、Jupyter Notebookを「手書きの実験ノート」だとすると、一つの重大な問題が残ります。それは、「そのノート、他の人が読んでも100%同じ実験を再現できますか?」という問題です。
実行順序に依存したり、途中で変数名を変更したことを忘れていたり…。Jupyter Notebookは「試行錯誤」には最適ですが、その自由さゆえに「属人的」になりやすく、厳密な「再現性」を担保するのが難しいのです。
もし、あなたがJupyterで見つけたロジック(例えば、敗血症の早期予測モデル)を、病院の電子カルテシステムに組み込む「本番環境」で使おうとしたらどうでしょう?
「その日、その人のPCでだけ動く」ような実験コードは、医療現場では絶対に受け入れられません。必要なのは、いつ、誰が、どのサーバーで実行しても、寸分違わず同じ結果を出す、堅牢で再現可能な「本番用の手順書(コード)」です。プログラミングの世界では、これをSOP(Standard Operating Procedures)と呼ぶことがありますが、要するに「信頼できる、何度でも使える部品」のことです。
この回で学ぶ Visual Studio Code (VS Code) は、その「本番用の手順書」を作成し、管理するための、いわば「コードの手術室」です。Jupyterという「作業台」で見つけた素晴らしいアイデアを、「本番の臨床現場」で安全に使えるレベルに昇格させるための、プロフェッショナルな開発環境なのです。
VS Codeとは?:「コードの手術室」と呼べる理由
VS Codeは、Microsoftが開発・提供する、世界で最も人気のある「コードエディタ」の一つです (Stack Overflow, 2023)。
「コードエディタ」と聞くと、Windowsの「メモ帳」やMacの「テキストエディット」のような、単なる文字入力ソフトを想像するかもしれません。しかし、VS Codeはそれらとは全く異なります。これは「統合開発環境(IDE)」と呼ばれる、非常にインテリジェントなツールです。
この違いを、医療現場のアナロジーで考えてみましょう。
- メモ帳 / テキストエディット:
- 例えるなら: 「まっさらな手書きカルテ用紙」。
- 機能: 文字を書くことしかできません。薬剤名を間違えても、あり得ない用法用量を書いても、何も警告してくれません。
- Jupyter Notebook (C30.2):
- 例えるなら: 「優秀な研究者の個人ノート」。
- 機能: 実行と記録はできますが、管理は本人次第。他の人がそのノートを正確に解読できるかは保証されません。
- VS Code:
- 例えるなら: 「オーダリングシステムと連携した高機能電子カルテ」。
- 機能: ただの記録(コード記述)だけでなく、以下のような強力な支援機能(インテリジェンス)が満載です。
VS Codeのインテリジェンス(支援機能)
- シンタックスハイライト: コードの種類(関数、変数、文字列など)を色分けし、構造を読みやすくします。
- コード補完(IntelliSense): あなたが使おうとしている関数や変数を予測し、候補を表示します。「この薬剤(関数)には、この引数(用法用量)が必要ですよ」と教えてくれるイメージです。
- リアルタイム・エラーチェック(Linting): コードを書きながら、文法的な間違いや「推奨されない書き方(危険な用法)」をリアルタイムで下線で警告してくれます (Linters, 2024)。
- デバッグ機能: これが最強の機能です。コードの実行を一時停止し、内部の状態を詳細に観察できます。後ほど詳しく解説します。
Jupyterが「自由に仮説を試す診察室」だとしたら、VS Codeは「エラー(医療過誤)を未然に防ぎ、標準化された手順(本番コード)を確実に実行するための、アシスタント付きの手術室」なのです。
セットアップと「必須装備(拡張機能)」
VS Codeは無料で、Windows, macOS, Linuxのすべてで動作します。まずは公式サイト(https://code.visualstudio.com/)からダウンロードし、インストールしてください。
インストールした直後のVS Codeは、まだ「空の手術室」のようなものです。ここに、Python開発に必要な「専門機器」を持ち込む必要があります。それが拡張機能(Extensions)です。
VS Codeの左側にあるテトリスのようなアイコンをクリックし、以下の2つの拡張機能は必ずインストールしてください。

- Python (Microsoft):
- 役割: Python言語の「通訳・アシスタント」。
- 機能: これを入れることで、先ほど説明したコード補完、エラーチェック(Linting)、デバッグ機能など、Python開発に必要なほぼ全ての支援機能が有効になります。
- Jupyter (Microsoft):
- 役割: 「手術室から実験ノートを覗く窓」。
- 機能: なんと、VS Codeの中でJupyter Notebook(
.ipynbファイル)を直接開いて編集、実行できるようになります。これにより、「Jupyterで試行錯誤し、固まったロジックをVS Codeの.pyファイルに清書する」という作業が、一つのソフト内でシームレスに行えます。
本番プロジェクトの「ゾーニング(区画分け)」
VS Codeを使った本番開発では、Jupyterのように「とりあえずファイルを作る」ことはしません。最初に「プロジェクト」という単位で全体の「設計図(フォルダ構成)」を決めます。
これは、医療現場で「清潔野」と「不潔野」を厳密に分ける「ゾーニング」の思想と全く同じです。「どこに何があるか」を明確にし、意図しない汚染(コードの衝突やデータの破壊)を防ぎ、医療安全(開発の安全性)を確保するためです。
Jupyterでありがちな「ノートブックも、CSVデータも、書き出した画像も、全部同じフォルダにぐちゃぐちゃ」という状態は、最も避けなければならない「不潔」な状態です。
プロの現場では、以下のような「清潔」な区画分けが標準的です。
このゾーニングの核心は、notebooks/(実験)と src/(本番コード)を完全に分離することです。
JupyterからVS Codeへの「リファクタリング(清書)」実践
では、いよいよ実践です。C30.2の「実験ノート(Jupyter)」で試行錯誤した「架空の患者データを作成し、グラフを描画する」という一連のプロセスを、今度は「本番用の手順書」として「手術室(VS Code)」に清書(リファクタリング)してみましょう (Fowler, 2018)。
この「清書」こそが、Jupyterのアイデアを「再現可能な資産」に変える、最も重要なステップです。
【実行前の環境確認】
この記事のコードは、C30.2で構築した私たちの「清潔な器具庫」である clinical-ai というConda環境 が存在することを前提としています。作業を始める前に、必ずターミナル(WindowsならAnaconda Prompt、Mac/Linuxならターミナル)を開き、以下のコマンドで環境を有効化(アクティベート)してください。
# ターミナルでこのコマンドを実行し、
# プロンプト(行頭)が (base) から (clinical-ai) に変わることを確認します
conda activate clinical-ai
また、この環境に必要な「器具(ライブラリ)」が揃っているか確認します。C30.2のセットアップで pandas, matplotlib, japanize-matplotlib はインストール済みのはずですが、数値計算の基礎となる numpy が必要になるため、以下のコマンドで追加インストールしておくと万全です。(すでにあれば “Requirement already satisfied” と表示されます)
# (clinical-ai) 環境が有効な状態で実行します
pip install numpy
【プロジェクトフォルダの準備】
次に、VS Codeの操作に移ります。ここで、Jupyterとは異なる「プロジェクト」としてのファイルの作り方を学びます。
- プロジェクトフォルダを開く: VS Codeを起動します(この時点では空のウィンドウかもしれません)。
- メニューバーから「ファイル」(File)を選び、「フォルダを開く…」(Open Folder…)をクリックします。
- ファイルダイアログが表示されたら、私たちが設計したプロジェクトフォルダ(例:
my_sepsis_project)を選択して「開く」ボタンを押します。
- フォルダの作成と確認: フォルダが開くと、VS Codeの左側に「エクスプローラー」パネルが表示され、
my_sepsis_projectフォルダが示されます(最初は中身が空かもしれません)。- まず、
my_sepsis_projectフォルダ名(エクスプローラーの最上位)のあたりで右クリックし、「新しいフォルダー…」(New Folder…)を選択します。 dataと入力してEnterキーを押し、dataフォルダを作成します。- 同じ操作を繰り返して、
notebooksフォルダとsrcフォルダも作成してください。 - これで、
data/,notebooks/,src/という3つのサブフォルダがツリー状に表示されます。
- まず、
- 本番用コードファイル (
analysis.py) の作成:- 左のエクスプローラーパネルで、「本番コード・部品置き場」である
srcフォルダにマウスカーソルを合わせます。(クリックはしないでください) srcの右側に、小さなアイコンがいくつか表示されます。一番左の「新しいファイル…」(New File…)アイコン(紙にプラスマークが付いたようなアイコン)をクリックします。srcフォルダのすぐ下にテキストボックスが表示されるので、analysis.pyと入力し、Enterキーを押します。- これで、
srcフォルダ内にanalysis.pyという空のファイルが作成され、画面右側のメインエディタ領域にそのタブが開きます。ここが、私たちが再利用可能な「関数(部品)」を書き込む場所です。
- 左のエクスプローラーパネルで、「本番コード・部品置き場」である
- 【最重要】Python環境の接続: 最後に、この「手術室(VS Code)」で、先ほど有効化した「清潔な器具庫(
clinical-ai環境)」を使えるように接続します。- VS Codeウィンドウの右下(または左下)にあるステータスバーを見てください。「Python 3.x.x …」のようにバージョンが表示されている部分があるはずです。
- そこをクリックします。(もし何も表示されていなければ、
analysis.pyが開いていることを確認し、Cmd+Shift+P(Mac) /Ctrl+Shift+P(Win) でコマンドパレットを開き、「Python: Select Interpreter」と入力します) - 画面上部に「Pythonインタプリタを選択」というリストが表示されます。その中から、
'clinical-ai': Condaと書かれた項目(.../envs/clinical-ai/bin/pythonのようなパスが示されているはず)を選びます。 - これで、VS Codeは
clinical-ai環境にインストールされているpandasやnumpyを正しく認識できるようになりました。コード補完(IntelliSense)やエラーチェックが、この環境を基準に動作し始めます。

これで準備は完了です。次の「作業1」で、この analysis.py にコードを書き込んでいきましょう。
作業1:再利用可能な「関数(部品)」の作成 (src/analysis.py)
Jupyterではセルにベタ書きしていたロジックを、src/analysis.py ファイルの中に、再利用可能な「関数」として清書します。「関数」とは、特定の作業(例: データ作成)を実行する、名前の付いたコードのまとまりのことです。一度作れば、他のファイルから何度でも呼び出すことができます。
# -----------------------------------------------------
# ファイル名: src/analysis.py
# 役割:再利用可能な分析関数(部品)を定義する場所
# -----------------------------------------------------
# --- 必要なライブラリのインポート ---
import numpy as np # 数値計算のためのライブラリ (as np で 'np' という名前で使う)
import pandas as pd # データ分析のためのライブラリ (as pd で 'pd' という名前で使う)
import matplotlib.pyplot as plt # グラフ描画のためのライブラリ
import japanize_matplotlib # グラフの日本語表示対応
# --- 関数1:架空データを作成する部品 ---
def create_dummy_patient_data(num_patients=100, seed=42):
"""
指定された人数と乱数シードに基づき、架空の患者データ(DataFrame)を作成する関数。
Args:
num_patients (int): 作成する患者数(デフォルトは100)。
seed (int): 乱数シード(デフォルトは42)。シードを固定することで、何度実行しても同じデータが生成される(再現性の担保)。
Returns:
pd.DataFrame: 患者データ(カラム: 年齢, 性別, HbA1c, BMI)。
"""
# 乱数シードを固定(再現性の確保)
np.random.seed(seed)
# Pythonの辞書(dict)形式でデータを定義
data = {
'年齢': np.random.randint(20, 80, num_patients), # 20歳から79歳までの整数をランダムに生成
'性別': np.random.choice(['男性', '女性'], num_patients), # '男性'または'女性'をランダムに選択
'HbA1c': np.random.normal(6.5, 1.0, num_patients).round(1), # 平均6.5, 標準偏差1.0の正規分布で生成し、小数第1位で丸める
'BMI': np.random.normal(23, 3.0, num_patients).round(1) # 平均23.0, 標準偏差3.0の正規分布で生成し、小数第1位で丸める
}
# 辞書からPandas DataFrame(表)を作成
df = pd.DataFrame(data)
# 作成したDataFrameを関数の結果として返す
return df
# --- 関数2:年齢分布グラフを作成・保存する部品 ---
def plot_age_distribution(df, save_path):
"""
患者データのDataFrameを受け取り、年齢分布のヒストグラムをPNGファイルとして保存する関数。
Args:
df (pd.DataFrame): 患者データ('年齢'カラムを含む必要がある)。
save_path (str): グラフを保存するファイルパス(例: 'age_distribution.png')。
"""
# グラフの描画領域(Figure)とサイズ(figsize)を指定
plt.figure(figsize=(8, 5))
# データフレーム(df)の'年齢'列(column)を使ってヒストグラムを作成
# bins=20: 棒の数を20本に指定, edgecolor='black': 棒の枠線を黒に
df['年齢'].hist(bins=20, edgecolor='black')
# グラフのタイトル(日本語)
plt.title('患者の年齢分布')
# X軸のラベル(日本語)
plt.xlabel('年齢')
# Y軸のラベル(日本語)
plt.ylabel('人数')
# 背景のグリッド線(マス目)を非表示に
plt.grid(False)
# 指定されたファイルパス(save_path)にグラフを画像として保存
plt.savefig(save_path)
# メモリを解放するために、描画領域を閉じる
plt.close()
# コンソール(ターミナル)に保存完了のメッセージを表示
print(f"グラフを {save_path} に保存しました。")
これで、「データを作る部品」と「グラフを描く部品」が完成しました。Jupyter Notebookと違い、コードが「関数(def ...:)」という単位で整理されているのが特徴です。
作業2:分析フローを実行する「メインファイル」の作成 (run_analysis.py)
次に、先ほど作った「部品(関数)」を呼び出して、実際の分析フロー(①データを作り、②グラフを描く)を実行するための、メインのスクリプトファイルを作成します。
VS Codeのエクスプローラーで、今度はプロジェクトのルートフォルダ(my_sepsis_project/)を直接クリックし、「新しいファイル…」アイコンから run_analysis.py というファイルを作成します。
# -----------------------------------------------------
# ファイル名: run_analysis.py
# 役割:srcフォルダに定義した「部品(関数)」を呼び出し、
# 実際の分析ワークフローを実行するファイル。
# -----------------------------------------------------
# --- 必要な「部品(関数)」のインポート ---
# 「src/analysis.py」ファイルから、先ほど定義した2つの関数をインポート
# これにより、このファイル内で create_dummy_patient_data や plot_age_distribution が使えるようになる
from src.analysis import create_dummy_patient_data, plot_age_distribution
# --- メイン実行ブロック ---
# (Pythonスクリプトのお作法:このファイルが直接実行された時だけ、以下の処理を行う)
if __name__ == "__main__":
# 1. ログ(実行開始のメッセージ)を表示
print("分析プロセスを開始します...")
# 2. 「データ作成部品」を呼び出し、150人分のデータを作成
# 結果は patient_df という変数に格納される
patient_df = create_dummy_patient_data(num_patients=150, seed=123)
# 3. グラフを保存するファイルパスを定義
# 'results' というフォルダ(別途作成しておく)に保存する想定
output_filepath = "results/age_distribution_plot.png"
# 4. 「グラフ描画部品」を呼び出し
# (patient_df と output_filepath を引数として渡す)
plot_age_distribution(df=patient_df, save_path=output_filepath)
# 5. ログ(実行完了のメッセージ)を表示
print("分析プロセスが正常に完了しました。")
作業3:VS Codeのターミナルから実行する
VS Codeには「統合ターミナル」という、コマンドを実行するための画面が内蔵されています(メニューの「ターミナル」 > 「新しいターミナル」で開けます)。
(あらかじめ mkdir results コマンド(またはエクスプローラーで右クリック→「新しいフォルダー」)で results フォルダを作成しておいてください)
ターミナルで、Conda環境が (clinical-ai) になっていることを確認し、以下のコマンドを実行します。
(clinical-ai) % python run_analysis.py
【実行結果(ターミナル)】
分析プロセスを開始します...
グラフを results/age_distribution_plot.png に保存しました。
分析プロセスが正常に完了しました。
results フォルダを見ると、age_distribution_plot.png というグラフファイルが生成されているはずです。

これが「本番コード」の動き方です。Jupyterのようにセルを順に実行するのではなく、python run_analysis.py というコマンド一つで、定義された手順書が上から順に自動実行されます。これこそが「再現性」です。
VS Codeの最強機能「デバッガ」:コードの内部診断
VS Codeが「手術室」である最大の理由が、この「デバッガ」機能です。
JupyterやRでコードが動かない時、私たちは print() 関数をコードのあちこちに挿入し、変数の途中経過を表示させてエラーの原因を探します。これは、原因がわからないまま「とりあえず採血してみる」という対症療法に似ています。
一方、VS Codeのデバッガは「コードのCT/MRI」あるいは「動作中のコードの内部を覗く内視鏡」です。
run_analysis.py を開いた状態で、VS Codeの左側にある「実行とデバッグ」(虫のアイコン)タブを開き、以下の操作をします。
- ブレークポイント (Breakpoint) の設定:
run_analysis.pyのpatient_df = ...という行の左側(行番号のあたり)をクリックして、赤い丸(ブレークポイント)を付けます。 - デバッグの開始: 「実行とデバッグ」ボタン(緑の三角)を押します。
すると、プログラムの実行が赤い丸を付けた行で「一時停止」します。
この状態で、以下のことができます。
- ステップ実行 (Step Over/Into): 一時停止した状態で、コードを1行ずつ、あるいは関数の中(
create_dummy_patient_dataの中身)に入り込みながら実行を進められます。 - 変数モニタ: 画面左側の「変数」ウィンドウに、その時点でのすべての変数の値がリアルタイムで表示されます。
patient_dfが作成された直後に止めれば、その中身(DataFrame)をドリルダウンして確認できます。
つまり、「症状(エラーメッセージ)」から原因を推測するのではなく、コードの実行プロセス(血流)を一時停止させ、内部の状態(血液検査データや画像所見)をリアルタイムで詳細に観察し、エラーの「根本原因」を診断できるのです。
付録:VS Codeデバッガ 基本ショートカット (安全版)
- F5 デバッグの開始 / 続行
- F9 ブレークポイントの設定/解除
- F10 ステップオーバー (1行実行)
- F11 ステップイン (関数の中に入る)
- Shift + F11 ステップアウト (関数の外に出る)
- Shift + F5 デバッグの停止
環境の接続(C30.2とC30.4をつなぐ)
(このセクションは【プロジェクトフォルダの準備】の「Python環境の接続」ステップで既に詳細に解説済みですが、念のため再掲します)
VS Codeという「手術室」に、C30.2(またはC30.5)で作った clinical-ai 環境という「清潔な薬剤・器具セット」を持ち込む必要があります。
VS Codeは、PC内に複数のPython環境(標準のPython、Conda環境など)があっても、プロジェクトごとに「どの環境(インタプリタ)を使うか」を選択できます。VS Codeの右下(または左下)に表示されているPythonのバージョンをクリックし、リストから clinical-ai を選ぶだけで接続は完了です。
これにより、VS Codeは clinical-ai 環境にインストールしたライブラリ(Pandasなど)を正しく認識し、コード補完やデバッグを実行できるようになります。
まとめ:VS Codeで「資産」を作る
Jupyter Notebookが「試行錯誤(Experiment)」の場であるなら、VS Codeは「再現可能な資産(Assets)」を作る場です。
この「ゾーニング(src/)」と「リファクタリング(清書)」、そして「デバッガ(内部診断)」の習慣を身につけることが、あなたの書くコードを「その場限りのメモ」から「チームで共有し、臨床現場で安全に運用できるAI」へと昇格させる、最も重要な第一歩となります。
参考文献
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For J³, may joy follow you.

